3月4日の朝。悲劇は起こった。
私の愛猫たんぽぽが犬に噛まれた。
学校へ行こうとドアを開けると何か違う空気が流れた。
4,5匹の犬が駈けてきて何かに飛びついた。
たんぽぽがそこにいた。
私は悲鳴をあげて、ほうきで音をたてた。
一匹の犬がたんぽぽをくわえて、たんぽぽはその口元であばれていた。
その光景を目の前に私はただただ「たんぽぽ」と叫ぶことしかできなかった。
隣の家のヒルダが駈けてきて、犬を追いやった。
私は駆け寄って弱ったたんぽぽを抱きかかえた。
家に連れて行き、弱ったたんぽぽを休ませた。
「たんぽぽ、死なないで。」と思わず涙がこぼれた。
ちょっとだけたんぽぽに付き添って、私は学校へ行った。
弱ったたんぽぽのそばにいたかったけど、学校へ行かないわけにはいかなかった。
休み時間にたんぽぽの様子を見に家へ戻った。
ドアを開ける瞬間、とても怖かった。
たんぽぽは生きているのかな。きっと生きている。そう信じてドアをあけた。
たんぽぽは生きていた。
ドラキュラのような歯になってしまったけれど、たんぽぽは徐々に回復していき、今では私の邪魔をしてばかり。
誰かを助けたいと思ったとき、私にできることはたかがしれている。
その人の持つ力を信じること、私にはそのくらいしかできないのかもしれない。でも、それが一番大切なことなのかなと思った。
大丈夫、きっとあなたなら乗り越えられる。それだけのパワーをもっているから。
PR